○大田市文化財保護条例
平成17年10月1日
条例第96号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市指定有形文化財(第4条―第17条)
第3章 市指定無形文化財(第18条―第23条)
第4章 市指定有形民俗文化財及び市指定無形民俗文化財(第24条―第31条)
第5章 市指定史跡名勝天然記念物(第32条―第36条)
第6章 補則(第37条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、市の区域内に存する文化財(国又は県の指定するものを除く。)のうち、市にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第3条 大田市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならならない。
第2章 市指定有形文化財
(指定)
第4条 教育委員会は、所有者及び権限に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得て、市の区域内に存する有形文化財(国又は県の指定するものを除く。)のうち市にとって重要なものを大田市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめ、別に定める大田市文化財保護審議会(以下「市文化財保護審議会」という。)に諮問しなければならない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者等に通知して行う。
5 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該市指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第5条 教育委員会は、市指定有形文化財が市指定有形文化財としての価値を失ったときその他特殊の事由があるときは、その指定を解除することができる。
2 市指定有形文化財について国又は県の文化財の指定があったときは、当該市指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。
4 第2項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者等に通知しなければならない。
5 市指定有形文化財の指定の解除の通知を受けたときは、所有者は、速やかに市指定有形文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第6条 市指定有形文化財の所有者は、この条例及び教育委員会の指示に従い、市指定有形文化財を管理しなければならない。
2 市指定有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任したときも、同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更等)
第7条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅失、き損等)
第8条 市指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の場所変更)
第9条 市指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理又は修理の補助)
第10条 市指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、市は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(1) 管理又は修理に関し条例に違反したとき。
(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。
(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかったとき。
(管理又は修理に関する勧告)
第12条 市指定有形文化財の管理が適当でないため当該市指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 市指定有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、その所有者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用については、市は、所有者又は管理責任者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
(現状変更等の制限)
第13条 市指定有形文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。
2 教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。
(公開)
第15条 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、一定期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため当該市指定有形文化財を出品し、又は公開することを勧告することができる。
2 教育委員会は、前項の規定により市指定有形文化財が出品されたとき又は公開されたときは、その職員のうちから管理の責めに任ずべきものを定めなければならない。
3 第1項の規定による出品又は公開のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。
4 第1項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該市指定有形文化財を滅失し、又はき損したときは、市は、所有者に対し、通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。
(報告)
第16条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第17条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該市指定有形文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該市指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第3章 市指定無形文化財
(指定)
第18条 教育委員会は、市の区域内に存する無形文化財(国又は県の指定するものを除く。)のうち市にとって重要なものを大田市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知して行う。
5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第19条 市指定無形文化財が市指定無形文化財としての価値を失ったときその他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められるときその他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。
3 市指定無形文化財について国又は県の文化財の指定があったときは、当該市指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。
(保持者の氏名変更等)
第20条 保持者が氏名(芸名、雅号等を含む。)若しくは住所を変更し、若しくは死亡したとき、又は保持者について、その保持する市指定無形文化財の保存に影響を及ぼす心身の故障が生じたときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。
(保存)
第21条 教育委員会は、市指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形文化財について、自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、市は、保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第22条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し市指定無形文化財の公開を、市指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第23条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 市指定有形民俗文化財及び市指定無形民俗文化財
(指定)
第24条 教育委員会は、市の区域内に存する有形の民俗文化財(国又は県の指定するものを除く。)のうち市にとって重要なものを所有者等の同意を得て、大田市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(国又は県の指定するものを除く。)のうち市にとって重要なものを大田市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
4 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定は、その旨を告示して行う。
(解除)
第25条 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財が市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財としての価値を失ったときその他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財について国又は県の文化財の指定があったときは、当該市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財の指定は、解除されたものとする。
(市指定有形民俗文化財の現状変更等の届出)
第26条 市指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 市指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
(市指定無形民俗文化財の保存)
第28条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形民俗文化財について、自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、市は、その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(市指定無形民俗文化財の記録の公開)
第29条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
(市指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第30条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
(市指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等)
第31条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、市は、適当な者に対し、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
第5章 市指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第32条 教育委員会は、所有者の同意を得て、市の区域内に存する記念物(国又は県の指定するものを除く。)のうち市にとって重要なものを大田市指定史跡、大田市指定名勝又は大田市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第33条 市指定史跡名勝天然記念物が市指定史跡名勝天然記念物としての価値を失ったときその他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 市指定史跡名勝天然記念物について国又は県の文化財の指定があったときは、当該市指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。
(現状変更等の制限)
第35条 市指定史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。
第6章 補則
(委任)
第37条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。