○大田市伝統的建造物群保存地区保存条例
平成17年10月1日
条例第98号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項及び第2項の規定に基づき、大田市(以下「市」という。)が定める伝統的建造物群保存地区に関し、地区の決定、現状変更の規制その他その保存のため必要な措置を定め、もって本市の文化的向上に資することを目的とする。
(1) 伝統的建造物群 法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。
(2) 伝統的建造物群保存地区 法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)をいう。
(都市計画区域外又は準都市計画区域外における保存地区の決定)
第3条 大田市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、市の都市計画区域外又は準都市計画区域外の区域内に所在する伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、保存地区を決定することができる。
3 保存地区を決定しようとする場合において必要があると認めるときは、住民等の意見を反映させるために公聴会の開催等の必要な措置を講ずるものとする。
4 保存地区を決定したときは、その名称及び区域を告示しなければならない。
5 保存地区の決定は、告示することによりその効力を生ずる。
(保存地区の取消し)
第4条 教育委員会は、前条第1項により決定した保存地区がその価値を失った場合その他特殊の事由がある場合においては、当該地区の決定を取り消すことができる。
(保存計画)
第5条 教育委員会は、保存地区を決定したときは、第15条に規定する審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項
(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するために特に必要と認められる物件の決定に関する事項
(3) 建造物の保存整備計画に関する事項
(4) 建造物及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するために特に必要と認められる物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項
3 教育委員会は、保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
(現状変更行為の規制)
第6条 保存地区内において次に掲げる行為をしようとするときは、あらかじめ教育委員会の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転又は除去
(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石類の採取
(6) 水面の埋立て又は干拓
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 仮設の工作物の新築、増築、改築、又は移転
(3) 次に掲げる木竹の伐採等
ア 間伐、枝打ち、整枝など木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採
イ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ウ 森林病害虫等防除のための木竹の伐採
エ 仮植した木竹の伐採
(4) 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
ア 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
イ 島根県公安委員会が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為
3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除去については、除去後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 第4号の建築物等の除去については、除去後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に定めるほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれのないものであること。
(1) 法第27条第1項の規定により指定された重要文化財、同法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財、同法第92条第1項に規定する埋蔵文化財又は同法第109条第1項の規定により指定され、若しくは同法第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物の保存に係る行為
(2) 島根県文化財保護条例(昭和30年島根県条例第6号)の規定により指定された文化財、大田市文化財保護条例(平成17年大田市条例第96号)の規定により指定された文化財の保存にかかわる行為
(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した者
(2) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(3) 第6条第3項の規定により許可に付した条件に違反している者
(4) 虚偽その他不正な手段により、第6条第1項の規定による許可を受けた者
(助言等)
第11条 教育委員会は、保存地区の保存のために必要があると認めるときは、保存地区内において第6条第1項各号に掲げる行為をしようとする者又はした者に対して、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
(経費の補助等)
第14条 市は、保存地区内における建造物及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景、又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対し、予算の範囲内においてその経費の一部を補助することができる。
(審議会の設置等)
第15条 教育委員会に大田市伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は教育委員会(都市計画区域内又は準都市計画区域内に保存地区を定めた場合にあっては市長及び教育委員会。以下この項において同じ。)の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する事項について調査審議し、及びこれらの事項について教育委員会に建議する。
3 審議会の委員の定数は、17人以内とし、学識経験者、関係行政機関の職員、関係地域を代表する者等のうちから、教育委員会が委嘱する。
4 委員の任期は2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 審議会に必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
(罰則)
第16条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則(都市計画区域内又は準都市計画区域内に保存地区を定めた場合にあっては市規則及び教育委員会規則)で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。