○大田市景観条例
平成21年9月30日
条例第25号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 景観計画(第6条―第8条)
第3章 景観法に基づく行為の規制等(第9条―第21条)
第4章 景観重要建造物(第22条―第24条)
第5章 景観重要樹木(第25条―第27条)
第6章 大田市景観審議会(第28条)
第7章 雑則(第29条)
附則
私たちのまち大田市は、世界遺産となった「石見銀山遺跡とその文化的景観」や、国立公園三瓶山をはじめ美しい日本海、山林など豊かな自然景観や、港町や農村等の集落景観など、すばらしい景観資源に恵まれている。この美しい景観は、市民や、訪れる人々に安らぎや心に潤いを与えてくれる貴重な財産である。
私たちはこの美しい景観を維持保全し、更に次の世代へ引き継いでいくことを決意し、市民が誇りと愛着がもてる、魅力あふれる景観づくりをするため、ここに大田市景観条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)及び景観法施行令(平成16年政令第398号。以下「政令」という。)の規定に基づく手続等について必要な事項を定めることにより、本市の個性的で優れた景観の継承、保全及び創造を総合的に推進していくことを目的とする。
(市の責務)
第2条 市は、良好な景観の形成を推進するための施策を策定し、これを総合的に実施しなければならない。
2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市民、事業者及び専門家の意見が反映されるよう努めなければならない。
3 市は、公共施設等の整備を行う場合には、良好な景観の形成において先導的な役割を果たすよう努めなければならない。
4 市は、市民及び事業者等に対し、良好な景観の形成に関する啓発及び知識の普及を図るため、必要な措置を講じなければならない。
5 市は、国及び他の地方公共団体又は規則に定める団体に対し、良好な景観の形成に寄与するよう協力を要請するものとする。
(市民の責務)
第3条 市民は、自らが良好な景観の形成に重要な役割を果たすことを認識し、積極的に良好な景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、自らの事業活動が良好な景観の形成に重要な役割を果たすことを認識し、その事業活動の実施に当たり、積極的に良好な景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
2 この条例において「工作物」とは、土地又は建築物に定着し、又は継続して設置される物のうち建築物以外のもので規則で定めるものをいう。
第2章 景観計画
2 市長は、景観計画を策定し、又は変更したときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、軽微な変更については、適用しない。
(景観計画区域等)
第7条 市長は、法第8条第1項の規定に基づき定める景観計画(以下「景観計画」という。)の区域内を次のいずれかの地域に区分して定めるものとする。
(2) 石見銀山景観保全地域(石見銀山景観保全条例(平成17年大田市条例第100号)第4条に規定する景観保全を図る地域をいう。)
(3) 自然環境保全地域(環境保全のために必要があると認められる地域で、規則に定める事項を満たす地域をいう。)
(景観計画案の提案)
第8条 市長は、法第11条の景観計画の提案を受けた場合において、当該素案に基づき景観計画の策定若しくは変更をする必要があると認めるとき、又は法第14条第1項の規定による通知をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。
2 政令第7条に規定する景観計画の提案に係る一団の土地の区域の規模は、0.1ヘクタール以上とする。
第3章 景観法に基づく行為の規制等
(届出を要する行為)
第9条 法第16条第1項第4号の規定による良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれのある行為として条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 建築物又は工作物の撤去
(2) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他土地の形質の変更
(3) 木竹の伐採
(4) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件のたい積で、たい積期間が90日を超える行為
(5) 水面の埋立て又は干拓
2 前項に定める行為を行おうとするものは、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日、行為の予定完了日、並びに行為をしようとする者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)を市長に届け出なければならない。
(届出及び勧告等の適用除外)
第10条 法第16条第7項第11号に規定する条例で定める行為は、規則に定める行為とする。
(行為の届出)
第11条 法第16条第1項及び第2項の規定による届出は、規則で定めるところにより行うものとする。
(行為の完了の届出)
第12条 法第16条第1項及び第2項の規定による届出をした者は、当該届出による行為を完了したときは、規則で定めるところにより速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(事前協議)
第13条 法第16条第1項に規定する届出を行う者は、その届出を行う前にあらかじめ、市長と協議しなければならない。その協議を行った行為の変更についても同様とする。
2 市長は、前項の規定による協議があったときは、当該行為が景観計画に適合しているかを回答するものとする。
(国の機関又は他の地方公共団体が行う行為の通知)
第14条 法第16条第5項に規定する通知は、規則で定めるところにより行うものとする。
2 市長は、必要があると認めるときは、法第16条第5項に規定する国の機関又は他の地方公共団体の通知に対し、規則で定めるところにより、良好な景観の形成について協力を要請するものとする。
(既存施設等に対する要請)
第15条 市長は、景観計画区域内の建築物又は工作物が、その区域に係る景観計画に適合せず、かつ、良好な景観を著しく阻害していると認めるときは、その所有者、占有者又は管理者に対し、これらの良好な景観の形成に配慮した利用又は管理を図るように要請することができる。
(特定届出対象行為)
第16条 法第17条第1項に規定する特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為のうち、同項の規定による届出を要する行為のすべてとする。
(指導)
第17条 市長は、第9条の規定により届出が必要な行為が景観計画に適合しないものである場合において、良好な景観の形成のために必要があると認めるときは、これらの行為をしようとする者又はした者に対し、必要な措置を講ずるよう指導することができる。
(勧告、命令等に係る手続)
第18条 市長は、法第16条第3項、法第17条第1項若しくは第5項又は前2条の規定に基づき、これらの規定による勧告、命令又は要請、指導をしようとする場合において、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
(勧告に従わなかった旨の公表)
第19条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に意見陳述の機会を与えなければならない。
(届出の対象とならないものに係る景観計画への適合)
第20条 法第16条第7項各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為が景観計画に適合するよう努めなければならない。
(立入調査)
第21条 市長は、他人の占有する土地に入って調査を行う必要があると認めるときは、その必要の限度において、職員を当該土地に立ち入らせその状況を調査させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、規則に規定するその身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第4章 景観重要建造物
(景観重要建造物に関する手続)
第22条 市長は、法第19条第1項の規定に基づき景観重要建造物の指定をしようとするときは、法第19条第2項に定めるもののほか、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、景観重要建造物の指定をしたときは、その旨及び規則で定める事項を告示するものとする。
3 市長は、法第23条第1項の規定により原状回復を命じ、又はこれに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、法第26条の規定により必要な措置を命じ、又は勧告しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、法第27条の規定により景観重要建造物の指定を解除しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。ただし、同条第1項の規定により指定を解除しようとする場合で、指定の理由が消滅したことが明らかであると市長が認めるときは、この限りでない。
(景観重要建造物の指定の標識)
第23条 市長は、景観重要建造物を指定したときは、法第21条第2項の規定に基づき、次の事項を表示する標識を設置するものとする。
(1) 指定番号及び指定の年月日
(2) 景観重要建造物の名称
(景観重要建造物の管理の方法の基準)
第24条 法第25条第2項の規定により定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。
(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。
(3) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検し、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告すること。
2 市長は、前項各号に掲げるもののほか、必要に応じ、景観重要建造物ごとに、景観重要建造物の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準を定めることができる。
第5章 景観重要樹木
(景観重要樹木の指定の手続)
第25条 市長は、法第28条第1項の規定に基づき景観重要樹木の指定をしようとするときは、法第28条第2項に定めるもののほか、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、景観重要樹木を指定したときは、その旨及び規則で定める事項を告示するものとする。
3 市長は、法第32条第1項において準用する法第23条第1項の規定により原状回復を命じ、又はこれに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、法第34条の規定により必要な措置を命じ、又は勧告しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、法第35条の規定により景観重要樹木の指定を解除しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。ただし、同条第1項の規定により指定を解除しようとする場合で、指定の理由が消滅したことが明らかであると市長が認めるときは、この限りでない。
(景観重要樹木の指定の標識)
第26条 市長は、景観重要樹木を指定したときは、法第30条第2項の規定に基づき、次の事項を表示する標識を設置するものとする。
(1) 指定番号及び指定の年月日
(2) 景観重要樹木の樹種
(景観重要樹木の管理の方法の基準)
第27条 法第33条第2項の規定により定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他の必要な管理を行うこと。
(2) 景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐため、病害虫の駆除その他の措置を行うこと。
(3) 当該景観重要樹木について、定期的に点検し、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告すること。
2 市長は、前項各号に掲げるもののほか、必要に応じ、景観重要樹木ごとに、景観重要樹木の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準を定めることができる。
第6章 大田市景観審議会
(設置)
第28条 本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、大田市景観審議会を置く。
2 審議会は、この条例に定めるもののほか、市長の諮問に応じ良好な景観の形成に関する事項について調査し、審議する。
3 審議会は、良好な景観の形成に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
4 審議会は、委員15人以内で組織し、次に掲げる者のうちから市長が任命し、又は委嘱する。
(1) 良好な景観の形成に関する学識経験を有する者
(2) その他市長が適当と認める者
5 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
7 会長は会務を総理し、審議会を代表する。
8 会長に事故があるときは、あらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
9 審議会の会議は会長が招集し、会長が議長となる。
10 会議は委員の2分の1以上が出席しなければ開くことができない。
11 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
12 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し、必要な事項は規則で定める。
第7章 雑則
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。