○大田市認知症初期集中支援事業実施要綱

平成29年3月16日

告示第21号

(目的)

第1条 この要綱は、認知症に関する正しい知識の情報提供や、医療・介護サービスの円滑な導入を推進するため、認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を設置し、認知症の初期に集中的・包括的に支援を実施することにより、訪問支援対象者及びその家族が、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けられることを支援することを目的とする。

(実施主体)

第2条 支援事業の実施主体は、大田市とする。ただし、市長は、支援事業の全部又は一部を適切な事業運営が確保できると認められる団体等に委託することができる。

(定義)

第3条 この要綱において、「訪問支援対象者」とは、市内に在住する40歳以上で、在宅で生活しており、かつ、認知症が疑われる者、又は認知症の者で、次の各号に掲げる基準に該当し、大田市認知症初期集中支援事業の利用に本人又は家族が同意したものとする。

(1) 医療・介護サービスを受けていない者、又は中断をしている者で次のいずれかに該当するもの

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結び付いていない者

 介護サービスを中断している者

(2) 医療・介護サービスを利用しているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、家族等が苦慮している者

(実施体制)

第4条 市長は、地域包括支援センターに支援チームを配置するものとする。

2 支援チームは、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により訪問支援対象者及びその家族(以下「訪問支援対象者等」という。)の初期の支援を包括的及び集中的に行うことにより、自立生活のサポートを行うものとする。

(支援チームの構成)

第5条 支援チームは、専門職2名以上及び専門医1名をもって構成する。

2 専門職は、次の各号の要件を全て満たす者とする。

(1) 保健師、看護師、作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者

(2) 認知症ケアや在宅ケアの実務及び相談業務等に3年以上携わった経験がある者

(3) 国が別途定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講し、必要な知識・技能を修得した者。ただし、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。

3 専門医は、次の各号のいずれかに該当する者とする。

(1) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、かつ、認知症の確定診断を行うことのできる認知症サポート医である医師

(2) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のある者

(3) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する者(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

(支援チームの役割)

第6条 専門職は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために、訪問支援対象者等に対して訪問活動等を行うものとする。

2 専門医は、認知症に関して専門的見識から他のチーム員に指導、助言等を行い、必要に応じて他のチーム員とともに訪問支援対象者等を訪問し相談に応需するものとする。

3 訪問対象者等の初回の観察・評価の訪問(以下「初回訪問」という。)は、原則として2名以上のチーム員で行うものとする。

(初回訪問時の支援等)

第7条 支援チームは、チーム員が初回訪問をする際、訪問支援対象者等に対し、次に掲げる支援を行うものとする。

(1) 認知症の包括的な観察及び評価

(2) 基本的な認知症に関する正しい情報の提供

(3) 専門的医療機関への受診及び介護保険サービスの利用の効果に関する説明

(4) 訪問支援対象者等に対する心理的サポート及び助言等

(チーム員会議の開催)

第8条 訪問支援対象者へ医療・介護サービスが円滑に導入されることを目的とし、専門医も含めたチーム員会議にて、支援の方向性を決定する。

2 チーム員会議の所掌事務は、次に掲げるものとする。

(1) 訪問支援対象者の課題や必要な支援についてアセスメントをする。

(2) アセスメント内容に応じて、支援方針、支援内容や支援頻度等を検討する。

3 必要に応じて、かかりつけ医や介護支援専門員、関係課職員等の参加を依頼するものとする。

(初期集中支援の実施)

第9条 支援チームは、訪問支援対象者が医療サービス又は介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6月間、訪問支援対象者等に対し、次の各号に掲げる初期集中支援を実施するものとする。

(1) 医療機関への受診が必要な場合の動機付け

(2) 継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援

(3) 介護サービスの利用等の勧奨及び誘導

(4) 認知症の重症度に応じた助言

(5) 身体を整えるケア

(6) 生活環境等の改善

(7) その他必要な初期集中支援

(初期集中支援終了後の支援)

第10条 支援チームは、訪問支援対象者等への初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、当該訪問支援対象者の担当介護支援専門員又は地域包括支援センターの職員との同行訪問を行う等の方法により、当該介護支援専門員等に円滑に引継ぎを行うものとする。

2 支援チームは、前項の引継ぎの2月後に、当該訪問支援対象者に係る医療サービス及び介護サービスの利用状況等を評価し、支援の必要性を判断の上、随時モニタリングを行うものとする。

3 第2条ただし書の規定により事業の委託を受けた者は、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類を5年間保管するものとする。

(検討委員会の設置)

第11条 認知症初期集中支援業務を実施する支援チームの設置及び活動状況や、当該事業を行う日常生活圏域を含む地域の関係機関や関係団体の一体的な事業の推進・評価を行うため、認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「検討委員会」という。)を開催する。

2 検討委員会は、大田市地域ケア会議設置運営要綱(平成27年大田市告示第104号の2)第6条に規定する専門部会を兼ねるものとする。

(守秘義務)

第12条 支援チームのチーム員は、支援チームの業務で知り得た秘密及び個人情報を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(その他)

第13条 この要綱に定めるもののほか、事業の実施に関し必要な事項は市長が別に定める。

この告示は、平成29年3月16日から施行する。

大田市認知症初期集中支援事業実施要綱

平成29年3月16日 告示第21号

(平成29年3月16日施行)