○大田市中小企業・小規模企業振興条例

平成30年3月28日

条例第3号

大田市内の事業所の大多数を占める中小企業・小規模企業は、地域の経済と雇用を支える重要な役割を担い、地域の発展と市民生活の向上に大きく貢献している。

一方、少子高齢化と人口減少、経済社会生活圏の広域化、経済活動の国際化等の急速な進行により、その経営環境は厳しさを増している。

大田市が将来にわたり、持続的に発展を遂げていくためには、中小企業・小規模企業の主体的な努力に加え、地域全体で中小企業・小規模企業の成長と発展が図られるよう支援していくことが必要である。

このため、中小企業・小規模企業の振興を市政の重要な柱と位置付け、地域全体が一体となって中小企業・小規模企業の振興に取り組むことで、雇用、交流人口、定住人口及び地域内の経済循環の拡大を図ることを目指して、ここにこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、本市の中小企業・小規模企業の振興について基本理念を定め、中小企業・小規模企業に関する施策を推進し、もって経済の発展及び雇用の創出を図り、市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業・小規模企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者及び同条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 中小企業・小規模企業支援団体 商工会議所、商工会その他の中小企業・小規模企業の支援を行う団体であって、市内に事務所又は事業所を有するもの及び市長が特に認めるものをいう。

(3) 金融機関等 銀行、信用金庫その他の金融業を行う者をいう。

(4) 教育機関 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校その他職業に必要な能力を育成することを目的とする機関をいう。

(5) 大企業 中小企業・小規模企業以外の会社をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念とし、市、中小企業・小規模企業、中小企業・小規模企業支援団体、金融機関等、教育機関、大企業及び市民がそれぞれの役割等を担い、協働により推進を図るものとする。

(1) 中小企業・小規模企業が、本市の経済の発展に寄与し、雇用の場を創出するものとして、市民生活の向上に貢献する重要な存在であることを認識し、その振興に取り組むこと。

(2) 中小企業・小規模企業の経営の向上及び改善に対する主体的な努力を促進するとともに、経営規模、経営形態等を勘案し、中小企業・小規模企業を取り巻く環境に配慮した施策を推進すること。

(3) 本市の有する豊かな自然、歴史、伝統文化等特色ある地域資源を十分に活用すること。

(4) 意欲及び能力に応じた多様な雇用を確保するとともに、中小企業・小規模企業が求める人材の確保及び育成を促進すること。

(5) 中小企業・小規模企業における事業承継が、円滑に実施されるよう必要な支援を行い、その持続的な発展を推進すること。

(市の責務等)

第4条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を立案及び実施する責務を有する。

2 市は、工事の発注並びに物品及び役務の調達を行う場合には、中小企業・小規模企業の受注機会の確保に努めるものとする。

(中小企業・小規模企業の努力)

第5条 中小企業・小規模企業は、経済的又は社会的環境の変化に対応してその事業の成長発展を図るため、主体的に経営の向上及び改善に取り組み、経営基盤の強化に努めるものとする。

2 中小企業・小規模企業は、雇用の確保及び人材の育成を図るとともに、従業員の福利厚生の充実及び仕事と生活の調和を図ることができる職場環境の充実に主体的に取り組むほか、積極的な地域資源の活用に努めるものとする。

3 中小企業・小規模企業は、国、県又は市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

4 中小企業・小規模企業は、教育機関と連携し、生徒の職場体験の機会等を提供するよう努めるものとする。

(中小企業・小規模企業支援団体の役割)

第6条 中小企業・小規模企業支援団体は、中小企業・小規模企業を支援し、本市における産業の総合的な発展を図ることにより、本市の活性化に貢献するよう努めるものとする。

2 中小企業・小規模企業支援団体は、国、県又は市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策の立案及び実施に当たり積極的に参画するよう努めるものとする。

(金融機関等の役割)

第7条 金融機関等は、中小企業・小規模企業に対し、資金需要に対する適切な対応その他の経営の改善及び向上に協力するよう努めるものとする。

2 金融機関等は、国、県又は市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施等に協力するよう努めるものとする。

(教育機関の役割)

第8条 教育機関は、教育活動を通じて、勤労及び職業に対する意識の啓発並びに人材の育成に努めるものとする。

2 教育機関は、国、県又は市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施等に協力するよう努めるものとする。

(大企業の役割)

第9条 大企業は、地域の活性化に資するよう努めるとともに、国、県又は市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策等に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第10条 市民は、中小企業・小規模企業の振興が地域経済の発展並びに市民生活の安定及び向上に寄与することを理解し、中小企業・小規模企業が提供する製品、サービス等を積極的に活用するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第11条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を講ずるものとする。

(1) 経営の革新及び経営基盤の強化

(2) 国内外における販路開拓及び取引拡大の支援

(3) 産学官連携等による技術及び新商品の開発等の促進

(4) 地域内における経済の循環の促進

(5) 融資制度等による資金調達の支援

(6) 創業及び新たな事業の創出の促進

(7) 円滑な事業承継の推進

(8) 学校教育におけるキャリア教育の推進

(9) 事業活動を担う人材の育成及び確保並びに雇用環境の整備

(10) まちの賑わいの創出につながる産業の振興

(11) 地域の多様な資源及び伝統産業を活かした事業活動の推進

(12) 農商工連携及び6次産業化並びに医療福祉その他の分野における産業連携の推進

(13) 観光振興の推進による交流人口の拡大

(14) 中小企業・小規模企業の事業活動の振興に資する企業誘致の推進

(15) 製品、技術等に関する情報発信の支援

(意見の聴取)

第12条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の立案及び実施に当たっては、あらかじめ中小企業・小規模企業、中小企業・小規模企業支援団体その他市長が必要と認める者の意見を十分に聴くものとする。

(財政上の措置)

第13条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するため、必要な財源の確保を図り、財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

大田市中小企業・小規模企業振興条例

平成30年3月28日 条例第3号

(平成30年4月1日施行)