○大田市債権管理条例

令和4年3月24日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は、市の債権の管理に関する事務の処理について必要な事項を定めることにより、当該事務の一層の適正化及び効率化を図り、もって公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利(地方自治法(昭和22年法律第67号)第240条第4項第3号から第8号までに掲げる債権を除く。)をいう。

(2) 強制徴収公債権 市の債権のうち、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係る債権及び法令の規定に基づき国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができるものをいう。

(3) 非強制徴収公債権 市の債権のうち、地方自治法第231条の3第1項に規定する歳入に係る債権で、強制徴収公債権以外のものをいう。

(4) 私債権 市の債権のうち、強制徴収公債権及び非強制徴収公債権以外のものをいう。

(他の法令等との関係)

第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例(以下「法令等」という。)若しくはこれに基づく規則又は企業管理規程(以下「規則等」という。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。

(市長等の責務)

第4条 市長(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第8条第2項の規定により管理者の権限を行う市長を含む。)及び病院事業管理者(以下「市長等」という。)は、法令等及び規則等の定めるところにより、市の債権を適正に管理しなければならない。

(生活困窮者支援との連携)

第5条 市長等は、債務者が生活困窮状態にあると認められるときは、生活困窮者支援の関係部署との連携に努めなければならない。

(台帳の整備)

第6条 市長等は、市の債権を適正に管理するため、規則等で定める事項を記載した台帳(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録を含む。)を整備しなければならない。ただし、当該市の債権の性質上特にその必要がないと認められるときは、この限りでない。

(債務者に関する情報の共有)

第7条 市長等は、履行期限までに履行されない市の債権がある場合において、当該市の債権の管理に関する事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、当該事務の遂行に必要な限度で、法令等の規定に従い、当該債務者の情報(地方税法第22条の秘密に該当する情報を除く。)を同一の実施機関(大田市個人情報保護法施行条例(令和4年大田市条例第32号)第2条第2項に規定する実施機関及び議会をいう。以下この項において同じ。)内において利用し、他の実施機関に提供し、又は他の実施機関から収集することができる。

2 市長等は、前項の規定により利用し、又は収集した情報を当該市の債権の管理に関する事務以外の事務に利用してはならない。

3 市長等は、第1項の規定により利用し、又は収集した情報を当該市の債権の管理に関する事務に利用する場合は、当該債務者及び第三者の権利利益を不当に侵害することのないようにしなければならない。

(督促及び督促手数料等)

第8条 市長等は、市の債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、法令等の定めるところにより、これを督促しなければならない。

2 市長等は、強制徴収公債権及び非強制徴収公債権について、前項の規定により督促したときは、1通につき100円の督促手数料を徴収することができる。

3 前項の規定は、私債権の督促に係る費用について準用する。この場合において、「強制徴収公債権及び非強制徴収公債権」とあるのは「私債権」と、「督促手数料」とあるのは「督促に係る費用」と読み替えるものとする。

(延滞金等)

第9条 市長等は、地方自治法第231条の3第1項に規定する分担金、使用料、手数料、過料その他の歳入について前条の規定による督促をした場合においては、延滞金を徴収することができる。

2 大田市税条例(平成17年大田市条例第54号)第19条及び第20条並びに附則第3条の2第1項の規定は、前項の延滞金を徴収する場合について準用する。

3 市長等は、第1項の延滞金を納入すべき者が次の各号のいずれかに該当すると認める場合は、当該延滞金を減額し、又は免除することができる。

(1) 災害により著しく資力を喪失した場合

(2) 延滞金を納入すべき者の責めによらない事由により当該市の債権について納入が遅延した場合

(3) 前2号に掲げる場合のほか、当該市の債権について履行しなかったことにつきやむを得ない事由がある場合

4 第1項から前項までの規定は、私債権の遅延損害金について準用する。この場合において、第1項中「地方自治法第231条の3第1項に規定する分担金、使用料、手数料、過料その他の歳入」とあるのは「私債権」と、「延滞金」とあるのは「遅延損害金」と、第2項中「大田市税条例(平成17年大田市条例第54号)第19条及び第20条並びに附則第3条の2第1項」とあるのは「民法(明治29年法律第89号)第404条及び第419条第1項」と、「延滞金」とあるのは「遅延損害金」と、前項中「延滞金」とあるのは「遅延損害金」と読み替えるものとする。

(滞納処分等)

第10条 市長等は、強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶予及び滞納処分の停止については、法令等の規定によりこれを行わなければならない。

(強制執行等)

第11条 市長等は、非強制徴収公債権及び私債権について、第8条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第14条に規定する徴収停止の措置をとる場合又は第15条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。

(1) 担保の付されている債権(保証人の保証があるものを含む。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない債権(第1号に該当する債権で同号の措置をとってなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第12条 市長等は、市の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第15条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。

(債権の申出等)

第13条 市長等は、市の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか、市長等は、市の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第14条 市長等は、非強制徴収公債権及び私債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び徴収をしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約等)

第15条 市長等は、非強制徴収公債権及び私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 市長等は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る債権は、徴収すべきものとする。

(債務の免除)

第16条 市長等は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収公債権及び私債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(債権の放棄)

第17条 市長等は、非強制徴収公債権及び私債権について、次の各号のいずれかに該当するときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等の全部又は一部を放棄することができる。

(1) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定により債務者が当該債権についてその責任を免れたとき。

(2) 第11条の規定による強制執行等又は第13条の規定による債権の申出等の措置をとったにもかかわらず、なお完全に履行されなかった場合において、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、履行の見込みがないと認められるとき。

(3) 第14条の規定により徴収停止を行った場合において、相当の期間を経過した後においても、なお同条各号に該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当と認められるとき。

(4) 債務者が死亡し、その相続について限定承認があった場合、相続人全員が相続放棄した場合又は相続人が存在しない場合において、その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用及び当該債権に優先して弁済を受ける債権の合計額を超えないと見込まれるとき。

(5) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で、履行の見込みがないと認められるとき。

(6) 債務者が失踪、所在不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないと認められるとき。

(7) 私債権について、消滅時効に係る時効期間が満了したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理由があるときを除く。)

2 市長等は、前項の規定により債権を放棄したときは、これを議会に報告するものとする。

(委任)

第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

第1条 この条例は、公布の日(以下「施行日」という。)から施行する。

(大田市市税外収入金の督促手数料及び延滞金の徴収に関する条例の廃止)

第2条 大田市市税外収入金の督促手数料及び延滞金の徴収に関する条例(平成17年大田市条例第59号)は、廃止する。

(大田市公共下水道条例の一部改正)

第3条 大田市公共下水道条例(平成18年大田市条例第37号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(大田市公共下水道使用料条例の一部改正)

第4条 大田市公共下水道使用料条例(平成18年大田市条例第38号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(大田市公共下水道事業受益者負担金徴収条例の一部改正)

第5条 大田市公共下水道事業受益者負担金徴収条例(平成18年大田市条例第39号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(大田市生活排水処理施設の設置等に関する条例の一部改正)

第6条 大田市生活排水処理施設の設置等に関する条例(平成18年大田市条例第40号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(経過措置)

第7条 施行日前に地方自治法第231条の3第1項、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第171条、第171条の2及び第171条の4から第171条の6まで並びに附則第2項の規定による廃止前の大田市市税外収入金の督促手数料及び延滞金の徴収に関する条例第2条の規定に基づいて行った措置又は処分は、この条例の相当規定に基づいて行われたものとみなす。

(令和4年条例第36号)

この条例は、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)附則第1条第7号に掲げる規定(同法第51条の規定に限る。)の施行の日から施行する。

大田市債権管理条例

令和4年3月24日 条例第2号

(令和5年4月1日施行)