○大田市議会基本条例

平成24年3月27日

条例第24号

大田市議会は、地方分権の時代にあって、二元代表制のもと、大田市の事務執行の監視機能及び自ら持つ政策立案機能を十分に発揮しながら、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。

そのためには、これまで以上に公平、公正、透明な議会運営や、開かれた議会づくりを推進し、市民に対して情報の提供と共有化を図りながら、市民の積極的な参加を求めていく必要がある。

このような市民参加と活発な意見交換のうえに、議員同士の自由闊達な議論により、地域の課題のみならず、様々な市政の課題とこれに対する市民の意思を的確に反映しうる合議体としての議会づくりを通じ、市民の負託に応えていくことを決意するものである。

ここに大田市のまちづくりに寄与し、市民全体の福祉の向上を目指して、市民に信頼される議会とするため「大田市議会基本条例」を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、議会及び議員の活動に関する基本的事項を明らかにすることにより、更なる議会の活性化を図り、もって議会が市民の多様な意見の代表機能を果たし、市民福祉の向上及び公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の責務と役割)

第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行う。

(1) 議会は、市民を代表する決定機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重視して、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の市政運営状況を監視及び評価するものとする。

(2) 議会は、市民の多様な意見を把握して市政に反映させるため、必要な政策を自ら立案し、又は市長等に提案することにより、市民と共にまちづくりに取り組むものとする。

(3) 議会は、市民に開かれた議会を目指して情報公開に取り組むとともに、市民に対して議会の議決又は運営について、その経緯、理由等を説明する責任を果たすものとする。

(議員の責務と役割)

第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。

(1) 議員は、市民の代表者として、自らの役割と責務を常に認識し、言動に責任を持ち、公平、公正に職務を遂行するとともに、合議制の意思決定機関の一員として十分議論を重んじること。

(2) 議員は、市民の意思を的確に捉え市政に反映させていくため、自己の能力向上に努めるとともに、議員としての行動規範や道理をわきまえ、責務を誠実に果たすこと。

(3) 議員は、様々な機会を通じて市民に情報提供を行うとともに、市民の意見の把握及び積極的な情報収集に努めること。

(4) 議員は、常に全体の奉仕者として、市民全体の利益を優先して行動し、市民福祉の増進に努めること。

(5) 議員は、監視力、審査能力及び情報分析能力の向上のみならず、政策提案、市政調査等を積極的に行うことができるよう、政策等の形成及び立案能力の向上に努めること。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、同一理念を共有する議員で構成し、議会活動をする。

(市民参加の取組み)

第5条 議会は、市民に対し積極的にその有する情報を発信し、情報を共有化するとともに、その説明責任を果たさなければならない。

2 議会は、本会議、常任委員会のほか、すべての会議を原則公開とする。

3 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これらの提出者の意見を聴くよう努めるものとする。

4 議会は、公聴会制度及び参考人制度を活用することにより、市民の専門的又は政策的識見等を討議に反映させるよう努めるものとする。

5 議会は、市民の多様な意見を把握するため、市民参加の推進に努めるとともに、市民との意見交換の場を設けるものとする。

(議会報告会)

第6条 議会は、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うものとする。

(議員と市長等との関係)

第7条 議会審議における議員と市長等との関係は、次に掲げるものとする。

(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、市政に関する論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うことができる。

(2) 市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対し反問することができる。

(議会審議における論点整理)

第8条 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点を整理し、その審議を深めるため、市長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができる。

(1) 政策等を必要とする背景及び提案に至るまでの経緯

(2) 他の自治体の類似する政策との比較

(3) 市民参加の実施の有無とその内容

(4) 政策等に関係する計画との整合性

(5) 政策等の実施に係る財政措置及び将来にわたる費用と効果

(予算及び決算における説明)

第9条 議会は、予算及び決算の審議にあたっては、市長等に対し、分かりやすい施策別又は事業別の説明を求めることができる。

(議会の合意形成)

第10条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない。

2 議会は、本会議及び委員会において、議案の審議及び審査に当たり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする。

(委員会の活動)

第11条 委員会は、その審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら、市民に対し、分かりやすい論議を行うよう努めるものとする。

2 委員会は、新たに生ずる行政課題に迅速、かつ、的確に対応するため、市民との情報交換及び意見交換を積極的に行うよう努めるものとする。

3 委員長は、十分な討議を保障するため、委員会の秩序保持に努め、公平公正な委員会運営を行うものとする。

(政務活動費)

第12条 議員は、政策立案又は提案を行う等の調査及び研究その他の活動に資するため交付される政務活動費の執行に当たっては、大田市議会政務活動費の交付に関する条例(平成25年大田市条例第10号)を遵守しなければならない。

2 議員は、政務活動費の使途基準に従い、これを適正に執行し、市民に対して使途の説明責任を負うものとする。

(議員研修の充実)

第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実に当たり、広く各分野の専門家、市民等との議員研修会を年1回以上開催するものとする。

(議会事務局の体制整備)

第14条 議長は、議会の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査及び法務機能の充実を図るよう努めるものとする。

(議会図書室の利用と充実)

第15条 議会は、議員の調査研究に資するため議会図書室の充実を図るものとし、その有効利用に努めるものとする。

2 議会図書室は、議員の利用に支障のない範囲で一般に利用させることができる。

(議会広報の充実)

第16条 議会は、議会の活動状況を広く市民に周知するため、議会広報紙を発行するものとする。

2 議会は、議会広報紙を利用し、市政に係る重要な情報については、議会独自の観点から、市民に対する周知に努めるものとする。

3 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

(議員の政治倫理)

第17条 議員は、市民の負託に応えるため高い倫理的義務が課せられていることを自覚し、市民の代表として良心と責任感をもって議員の品位を保持し識見を養うよう努めなければならない。

(議員定数)

第18条 議員定数は、第2条に定める「議会の責務と役割」に沿った、議会としての機能を果たすのにふさわしいものとすることを基本とし、定めるものとする。

2 議員定数の改正に当たっては、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するものとする。

3 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び市の事業課題並びに類似市の議員定数と比較検討するものとする。

(議員報酬)

第19条 議員報酬は、市民の負託に応える議員活動への対価であることを基本とし、定めるものとする。

2 議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、他市との比較だけでなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測、展望を十分考慮するとともに、市民の意見を聴取するものとする。

(最高規範性)

第20条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議員にこの条例の理念が浸透するよう努めるものとする。

(見直し手続)

第21条 議会は、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検証するものとする。

2 議会は、前項による検証の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。

3 この条例を改正する場合には、改正議案の提出者は、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

(平成25年条例第11号)

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

大田市議会基本条例

平成24年3月27日 条例第24号

(平成25年4月1日施行)