○石見銀山景観保全条例

平成17年10月1日

条例第100号

かつて世界にも知られた石見銀山。

銀山とともに光り輝いた歴史とそれに育まれた景観の中に私たちの生活がある。

銀山には町が生まれ、街道と港は、人、もの、技術の交流の舞台となり、時に山野は銀をめぐる戦いの場となった。そして人々の暮らしは町並みに今も続いている。

私たちは、この素晴らしい石見銀山の景観を保全し、その価値を高め、未来に引き継ぐためこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、石見銀山の景観保全(以下「景観保全」という。)について必要な事項を定めることにより、その優れた景観を後世に継承していくことを目的とする。

(市の責務)

第2条 市は、この条例の目的を達成するための必要な施策を実施するよう努めなければならない。

(市民及び事業者の理解と協力)

第3条 市民及び事業者は、景観保全の重要性を理解し、自らその主体として景観保全への積極的な参加に努め、市が実施する景観保全に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(景観保全地域の指定)

第4条 市長は、景観保全のため、石見銀山景観保全地域(以下「保全地域」という。)を指定するものとする。

2 市長は、保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、第8条に規定する石見銀山景観保全審議会の意見を聴いた上で、次の各号に定める事項を公告し、当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

(1) 保全地域に指定しようとする土地の区域

(2) 保全地域の指定の案の縦覧場所

3 前項の規定による公告があったときは、当該保全地域に係る市民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに縦覧に供された案について市長に意見書を提出することができる。

4 市長は、保全地域を指定する場合は、その旨及びその区域を告示しなければならない。

5 保全地域の指定は、前項の告示によりその効力を生じる。

6 第2項から前項までの規定は、保全地域の区域の拡張及び縮小並びに保全地域の指定の解除について、それぞれ準用する。

(行為の許可)

第5条 保全地域において、次の各号に掲げる行為をしようとするものは、市長の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のため必要な応急措置として行う行為並びに通常の管理行為、軽易な行為及びその他の行為であって規則で定めるものについては、この限りでない。

(1) 建築物その他の工作物(屋外広告物その他これに類するもの(以下「広告物等」という。)を除く。以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転

(2) 建築物等における修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの

(3) 広告物等の設置又は形態若しくは外観の色彩の変更

(4) 土地の形状の変更

(5) 鉱物の掘採又は土石の採取

(6) 水面の埋立て又は干拓

(7) 木竹の伐採

2 市長は、前項各号に掲げる行為で、別に規則で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしない。

3 市長は、第1項の規定により許可しようとするときは、景観保全のため必要な限度において条件を付すことができる。

4 市長は、第1項の規定により許可しようとするときは、必要に応じて、第8条に規定する石見銀山景観保全審議会の意見を聴くことができる。

5 保全地域が指定され、又はその区域が拡張されたときには、当該保全地域内において既に第1項各号のいずれかの行為に着手しているものは、同項の規定にかかわらず引き続き行為をすることができる。

(国の機関等に関する特例)

第6条 前条第1項の規定は、国又は地方公共団体の機関(以下「国の機関等」という。)が行う行為については適用しない。この場合、当該国の機関等はその行為を行おうとするときは、あらかじめ、市長と協議しなければならない。

(申請又は協議の特例)

第7条 次に掲げる行為の場合には、第5条第1項の規定による許可に係る申請又は前条の規定による協議を要しないものとする。

(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第43条若しくは第80条、島根県文化財保護条例(昭和30年島根県条例第6号)第14条又は大田市文化財保護条例(平成17年大田市条例第96号)第13条の規定により、現状変更の許可を必要とされる行為であって、文化庁長官、島根県教育委員会又は大田市教育委員会(以下「教育委員会」という。)の許可を得たもの

(2) 文化財保護法第43条の2若しくは第127条又は島根県文化財保護条例第15条の規定により行う修理又は復旧

(3) 文化財保護法第168条第1項第1号又は同条第2項の規定により文化庁長官の同意を必要とされる国の機関が行う行為であって、当該同意を得たもの

(4) 大田市伝統的建造物群保存地区保存条例(平成17年大田市条例第98号)第6条の規定により現状変更の許可を必要とされる行為であるもののうち、都市計画区域内にあっては市長及び教育委員会の許可を、都市計画区域外にあっては教育委員会の許可を得たもの

(5) 大田市伝統的建造物群保存地区保存条例第8条の規定により協議が必要とされる行為であるもののうち、都市計画区域内にあっては市長及び教育委員会との協議が、都市計画区域外にあっては教育委員会との協議がなされたもの

(6) 大田市伝統的建造物群保存地区保存条例第9条の規定により通知が必要とされる行為であるもののうち、都市計画区域内にあっては市長及び教育委員会への通知が、都市計画区域外にあっては教育委員会への通知がなされたもの

(審議会の設置)

第8条 市長は、景観保全に関する事項を調査審議するため石見銀山景観保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、保全地域の景観保全に関する事項について調査審議し、重要な事項について市長に意見を述べることができる。

(審議会の組織及び運営)

第9条 審議会は、委員14人以内で組織し、次に掲げる者のうちから市長が任命する。

(1) 学識経験者

(2) 関係行政機関の職員

(3) その他市長が必要と認める者

(任期)

第10条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長及び副会長)

第11条 審議会には、会長及び副会長を置く。

2 会長及び副会長は、委員の互選によって定める。

3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第12条 審議会は、会長が招集し、その議長となる。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数の場合は議長の決するところによる。

(勧告及び公表)

第13条 市長は、第5条第1項の規定による許可を受けず、又は虚偽の申請により、景観を阻害する行為を行ったものに対し、その行為の中止、原状回復その他必要な措置をとるよう勧告することができる。

2 市長は、正当な理由なく前項の規定による勧告に従わないものについては、その事実を公表することができる。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の石見銀山景観保全条例(平成16年大田市条例第11号)、石見銀山に関する景観保全条例(平成16年温泉津町条例第11号)又は石見銀山景観保全条例(平成16年仁摩町条例第10号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

石見銀山景観保全条例

平成17年10月1日 条例第100号

(平成17年10月1日施行)